当中間連結会計期間における世界経済は、米国、欧州のインフレの長期化、中国の経済不況、地域紛争等による地政学的リスクの高まり、グローバル経済のブロック化の進行等の影響により、先行きは不透明な状況となっています。
ライフサイエンス業界においても、物価高や金利の高止まり等の影響から研究予算が縮減される中、米国においては政府方針により研究助成金が大幅に削減され、産業界およびアカデミアにおける研究開発のアクティビティがさらに低下しており、また、中国においては競合他社との競争が激化していることなどから、先行きの不透明感が高まっています。
このような状況の中、当社グループは、2025年度を最終年度とする6カ年の「長期経営構想2025」および3カ年の「中期経営計画2025」のもと、試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、ライフサイエンス産業のインフラを担うグローバルプラットフォーマーを目指すための取り組みを推進しました。
当中間連結会計期間の売上高は、受託が前年同期比で増加したものの、試薬、機器、遺伝子医療が前年同期比で減少しました。その結果、18,794百万円(前年同期比4.9%減)と減収となりました。売上原価は、売上構成の変化の影響等により、8,230百万円(同12.5%増)となりましたので、売上総利益は、10,564百万円(同15.1%減)と減益となりました。販売費及び一般管理費は、Curio Bioscience, Inc.(以下、「Curio社」という。)の買収に関する費用およびのれん償却費を計上したことなどから、12,907百万円(同7.3%増)となり、営業損失は、2,342百万円(前年同期は営業利益417百万円)となりました。
営業損失の計上にともない、経常損失は、2,485百万円(前年同期は経常利益549百万円)となりました。
税金等調整前中間純損失は、未稼働の受託製造にかかる設備の減損損失3,870百万円を計上したこと等により、6,323百万円(前年同期は税金等調整前中間純利益427百万円)、繰延税金資産の取り崩し等により法人税等調整額が248百万円となりましたので、親会社株主に帰属する中間純損失は、6,911百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益513百万円)となりました。
2025年5月13日の決算短信で公表した業績予想を修正しています。
当期下半期においても、世界的なライフサイエンス研究市場が引き続き低迷することが見込まれ、さらに、日本においては受託事業の新規案件獲得の未達なども影響し、売上高は前回発表予想を下回り、421億円となる見込みです。人員体制の見直し、研究開発の選択と集中、管理費の削減などに努めるものの、減収の影響が大きく、営業利益および経常利益ともに前回発表予想を下回り、それぞれ40億円の営業損失、44億円の経常損失となる見込みです。また、特別損失の計上および繰延税金資産の一部取り崩しにより、親会社株主に帰属する当期純利益も前回発表予想を下回り、90億円の純損失となる見込みです。
試薬事業においては、Curio Bioscience社買収によって獲得したSpatial製品の拡販、BtoB向けOEMやカスタム製品の提供、受託(CDMO)事業においては、ベンチャーなど初期の開発段階からの支援であるC‘R’DMOの展開、独自のプラットフォーム技術の開発、空間解析やシングルセル解析などの新メニュー展開などを施策として進め、人員体制の見直し、研究開発の選択と集中、管理費削減にも努め、収益改善に取り組んでまいります。
当社は、バイオ産業支援・遺伝子医療の各事業における研究開発活動を積極的に実施していくため、内部留保の充実に意を用いつつ、株主の皆様への利益還元についても重要な経営課題と位置づけ、経営成績および財政状態を総合的に勘案して利益還元を実施していくことを基本方針としています。具体的には、連結財務諸表における特別損益を加味せずに算出された想定当期純利益の35 %を目途として剰余金の配当を行う方針です。配当金額については、市場評価を意識した経営を進める観点から、通期連結業績実績数値とこれらの方針を総合的に勘案することとしています。
しかし、当期は大幅な純損失が見込まれることから、総合的に勘案した結果、誠に遺憾ながら期末配当予想については無配とさせていただきます。
投資家の皆様におかれましては、引き続き当社へのご理解ご支援のほどお願い申し上げます。
2025年11月
代表取締役社長
宮村 毅