2025年3月期の業績について

 当連結会計年度における世界経済は、米国、欧州のインフレの長期化、中国の経済不況、地域紛争等による地政学的リスクの高まり等の影響により、先行きは不透明な状況となっています。
 ライフサイエンス業界においても、物価高や金利の高止まり等の影響から研究予算が縮減され、産業界およびアカデミアにおける研究開発のアクティビティが低下し、市場回復が遅れています。このような状況の中、当社グループは、2025年度を最終年度とする6カ年の「長期経営構想2025」および3カ年の「中期経営計画2025」のもと、試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、ライフサイエンス産業のインフラを担うグローバルプラットフォーマーを目指すための取り組みを推進しました。
 当連結会計年度の売上高は、試薬、機器、受託および遺伝子医療の全てのカテゴリが前期比で増加しました。その結果、45,039百万円(前期比3.5%増)と増収となりました。売上原価は、相対的に利益率の高い検査関連試薬の減収や売上構成の変化の影響等により18,972百万円(同14.3%増)となりましたので、売上総利益は、26,067百万円(同3.1%減)となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費等が減少し、23,804百万円(同0.4%減)となり、営業利益は、2,263百万円(同24.6%減)と減益となりました。
 営業利益の減益にともない、経常利益は、2,592百万円(同23.9%減)、税金等調整前当期純利益は、1,997百万円(同30.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,041百万円(同29.6%減)となりました。
 なお、第1四半期連結会計期間より、管理区分の見直しにより、従来「試薬」に含めていたmRNA製造用関連製品(研究用)等の売上高を、「遺伝子医療」に加えています。この結果、前連結会計期間の売上高は変更後の区分に基づき組み替えを行っており、前連結会計期間において「試薬」に含めていた555百万円を、「遺伝子医療」として組み替えています。

今後の見通しについて

 2026年3月期通期の連結業績予想は、売上高52,500百万円、営業利益2,500百万円、経常利益2,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,300百万円で、売上高、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で増収増益を予想しています。
 同じく第2四半期連結累計期間は、売上高21,300百万円、営業損失1,450百万円、経常損失1,430百万円、親会社株主に帰属する中間純損失1,320百万円で、売上高および各利益項目は前年同期比で増収減益を見込んでいます。なお、第2四半期連結累計期間の売上高の進捗に偏りがあることなどから、営業利益予想の見通しについては、第1四半期、第2四半期および第3四半期連結累計期間は営業損失となる見込みで、通期で営業利益2,500百万円を見込んでいます。 

配当について

 当社は、研究開発活動を積極的に実施していくため内部留保の充実に意を用いつつ、株主の皆様への利益還元についても重要な経営課題と位置づけ、経営成績および財政状態を総合的に勘案して利益還元を実施していくことを基本方針としています。従来は、連結財務諸表における特別損益を加味せずに算出された想定当期純利益の35%を目途として剰余金の配当を行っていました。市場評価を意識した経営を進め、通期連結業績実績数値とこれらの配当方針を総合的に勘案し、2025年3月期の期末配当金につきましては、2024年5月10日に公表いたしましたとおり、1株当たり17円00銭(想定当期純利益の約116%)としました。


投資家の皆様におかれましては、引き続き当社へのご理解ご支援のほどお願い申し上げます。

2025年5月
代表取締役社長
仲尾 功一