タカラバイオ株式会社は、がん免疫遺伝子治療(注1)で注目されるヒトT細胞(Tリンパ球)の培養に最適化した研究用培地「LymphoONEsup{®} T-Cell Expansion Xeno-Free Medium」を、本年1月10日より日本国内で販売します。
近年、新しいがん治療として実用化が進んでいる、CAR遺伝子治療(注2)などのがん免疫遺伝子治療では、患者から免疫細胞であるT細胞を採取し、T細胞にがん細胞を効率的に認識・攻撃する遺伝子を導入した「遺伝子改変T細胞」を作製・培養し、治療薬として投与します。この遺伝子改変T細胞の培養では、患者から採取した自己血漿を添加した培地が多く使用されます。しかし、自己血漿は、患者の容態などによっては十分な確保が難しく、血漿への依存度が低いT細胞の培地が求められています。
本製品は、このようなニーズに対応したヒトT細胞培養の研究用培地で、次のような特長があります。
- ヒト血漿を添加しないT細胞の培養で、細胞の培養効率が飛躍的に向上
- レトロネクチンsup{®}(注3)の添加により、高効率な遺伝子導入が可能、また、高い抗腫瘍活性を発揮するナイーブT細胞(注4)が多く得られる
- 動物成分を含まないため感染などのリスクが少なく安全性が高い
当社は、がん免疫遺伝子治療などの再生医療の基礎研究や臨床応用に向けた研究・開発を支援する各種製品やサービスのラインアップ拡充を通じ、バイオ産業支援事業の拡大を目指しています。
【製品概要】
製品コード |
製品名 |
容量 |
価格(税別) |
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WK552S |
LymphoONEsup{®} T-Cell Expansion Xeno-Free Medium |
1,000 ml |
12,000 円 |
【製品に関するお問い合せ先】
製品の詳細やご購入については、当社営業企画部製品担当(TEL: 077-565-6972)までお問い合わせください。
【製品画像】
<参考資料>
【語句説明】
(注1) がん免疫遺伝子治療
がん免疫治療の一種。がんを認識・攻撃する性質を持つ免疫細胞であるT細胞を体外に取り出し、がん細胞を認識・攻撃する指示を出す遺伝子を導入し、機能を強化した遺伝子改変T細胞を作製、投与する治療法。体外遺伝子治療、細胞・遺伝子治療などとも呼ばれます。
(注2) CAR遺伝子治療
がん免疫遺伝子治療の一種。CARと呼ばれる遺伝子をT細胞に導入し、遺伝子改変T細胞を投与して治療します。血液がんの一部に対して優れた有効性が示され、米国では、複数の治療薬が承認を得て販売されています。
(注3) レトロネクチンsup{®}
フィブロネクチンと呼ばれる細胞接着性タンパク質を改良した遺伝子組換えタンパク質で、ウイルスベクターなどによる細胞への遺伝子導入効率や、T細胞の増殖率を飛躍的に高めます。がん免疫遺伝子治療で使用される遺伝子改変T細胞の作製にあたり汎用されています。レトロネクチンsup{®}は当社の登録商標です。
(注4)ナイーブT細胞
未分化なT細胞のこと。体外でナイーブT細胞を作製し、投与すると、体内でがん細胞により刺激を受け、がん細胞を攻撃する成熟型のT細胞に分化します。未分化な状態で投与するため、より長い期間体内で生存し、がん細胞を攻撃することができると言われています。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970