タカラバイオ株式会社は、滑膜肉腫を対象疾患として国内で治験を進めているNY-ESO-1・siTCR~{TM}遺伝子治療薬(開発コード;TBI-1301)が、本日、厚生労働省により「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定を受けましたのでお知らせします。

 

 「先駆け審査指定制度」は、厚生労働省により2015年より実施されており、一定の要件を満たす画期的な新薬等について、対象品目の迅速な実用化を図ることにより、世界に先駆けて最先端の治療薬を提供することを目的とした制度です。

 

 今般指定を受けたNY-ESO-1・siTCR~{TM}遺伝子治療薬は、がん抗原NY-ESO-1を認識するTCRの遺伝子を患者のリンパ球に体外で導入し、その遺伝子導入細胞を治療薬として患者に投与することにより、がん治療を行うものです。当社は2017年1月より滑膜肉腫を対象とした国内第I/II相試験を実施しています。

 

 本指定により、NY-ESO-1・siTCR~{TM}遺伝子治療薬は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による優先的な治験相談、事前評価、審査等の各種措置を受けることができます。当社は本指定の利点を最大限に有効活用し、NY-ESO-1・siTCR~{TM}遺伝子治療薬の早期の商業化を目指してまいります。

 

<ご参考>

厚生労働省リリース:「先駆け審査指定制度」の対象品目を指定しました

~新たに11品目を指定。画期的な製品の日本における開発を促進~ 

     http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199468.html

【語句説明】

先駆け審査指定制度

2015年より、厚生労働省により開始された制度。患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす画期的な新薬等について、開発の比較的早期の段階から先駆け審査指定制度の対象品目に指定し、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、承認審査のスケジュールに沿って申請者における製造体制の整備や承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、さらなる迅速な実用化を図るものです。

*詳細:厚生労働省ホームページ 先駆け審査指定制度について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/tp150514-01_00001.html

 

滑膜肉腫

滑膜肉腫は悪性軟部腫瘍の1つであり、悪性度が高く、局所転移及び遠隔転移を生じる予後不良の疾患です。滑膜肉腫症例ではNY-ESO-1抗原発現率が高く、NY-ESO-1抗原が比較的均一に腫瘍組織全体に発現され、また、細胞あたりの発現量が高いという特徴があります。

 

NY-ESO-1

NY-ESO-1は癌抗原の一つで、滑膜肉腫、悪性黒色腫、食道癌、卵巣癌、多発性骨髄腫、頭頸部癌などで発現が確認されています。癌抗原とは、免疫細胞が癌細胞と正常細胞を見分けるための目印になるもので、癌細胞に特有なものです。

 

siTCRTM遺伝子治療薬

癌患者から採取したリンパ球(T細胞)に、癌細胞を特異的に認識するTCR遺伝子を体外で導入し、培養によって増殖させた後に治療薬として患者に輸注します。TCR遺伝子が導入されたリンパ球が、癌細胞を特異的に認識して攻撃し、消滅させることが期待されます。当社ではTCR遺伝子を導入するにあたりsiTCRベクター技術を用いるため、このTCR遺伝子治療を、特にsiTCR~{TM}遺伝子治療と呼んでいます。

*詳細:当社ホームページ 遺伝子治療 siTCR~{TM}

    http://www.takara-bio.co.jp/medi/sitcr.html

 

 

siTCRベクター技術

リンパ球(T細胞)内在性のTCRの発現を人工的に抑制するため、目的のTCRを発現するリンパ球(T細胞)がより多く得られる技術で、TCR遺伝子治療の副作用のリスクの低減、有効性の向上につながると考えられています。

 

TCR(T細胞受容体)

リンパ球(T細胞)に発現する糖タンパク質で、リンパ球ががん抗原などを認識する際に作用します。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970