タカラバイオ株式会社の100%子会社である Takara Bio USA Holdings, Inc.(米国カリフォルニア州サンノゼ市)(以下、TBUSH社)は、先進的な空間トランスクリプトーム解析用試薬を開発するベンチャー企業 Curio Bioscience, Inc.(米国カリフォルニア州パロアルト市)(以下、Curio社)と、その株式を4,050万米ドルで取得し子会社化する買収合意契約を2025年1月15日付で締結しました(IRニュース 1月15日付)。当社グループは、成長著しい空間トランスクリプトーム解析(以下、空間解析)分野での新製品・新サービスの展開を加速させてまいります。

 次世代シーケンシング(以下、NGS)技術を用いた解析は、バルク解析からシングルセル解析、さらには空間解析へと急速にシフトしています。
 シングルセル解析は個々の細胞における遺伝子発現の状態を明らかにすることで、従来のバルク解析では見逃されていた遺伝子の微細な構造の違いやその動態を捉えることができます。
 さらに空間解析では、特定の遺伝子が発現している細胞の組織内での位置情報やその相互作用を可視化し、より詳細な情報が得られます(図1)。
 これらの技術の融合により、がん研究や再生医療、遺伝病の治療法開発など、多岐にわたる分野での応用が期待されています。

図1:空間解析例(マウス発生期)

組織内の細胞は均一ではなく、組織学的、機能的に分類される。空間解析(B)により、従来の組織染色(A)ではできなかった、遺伝子発現レベルによる組織分類が可能となった。 (Curio社HPより改変 https://curiobioscience.com/curio-trekker/

 当社は、このようなNGS関連研究のトレンドに合わせて、NGS解析用試薬SMARTer~{Ⓡ}シリーズやシングルセル解析装置 Shasta~{TM}など、多くの製品を開発し、市場のニーズにこたえてきましたが、このたび、Curio社の技術を獲得することで、当社のNGS技術を空間解析へと発展させ、最先端の研究を支えてまいります(図2)。

図2:当社グループのNGS関連製品

【Curio社のTrekker技術 : 図3】

 (A)固有のDNAバーコードを結合させたビーズをスライドガラス上に敷き詰めます。このDNAバーコードは、位置情報配列とNGS用配列を有しています。

 (B)このスライドガラス上に、薄く切った組織を重ねて反応させることにより、DNAバーコードを細胞内に取り込ませます。細胞とビーズの大きさはいずれも直径が約10μmで、ビーズと細胞を1対1で対応させることができるため、細胞1個ずつに位置情報がラベリングされます。

 (C)シングルセル解析用タグを添加することにより、DNAバーコードとmRNAを細胞から抽出することができます。

 (D)これらの位置情報がラベリングされたRNAをNGS解析することで、RNAの配列(≒遺伝子の発現)とその位置情報を網羅的に解析することができます。


Trekker技術は、専用装置を必要とせず、様々なシングルセル解析手法を適用できるという点で汎用性が高く、個々の細胞の位置情報と遺伝子発現状態を同時に解析でき、これまで以上に高度な空間解析を可能としました。

図3:Trekker技術の概要

 当社グループは、Curio社の現在の製品群を1月15日より全世界で順次販売開始します。

 今後さらに、汎用性を最大限に生かした新たな製品群を開発・販売し、5年後には関連試薬の全世界の売上50億円を目指します。

 さらに、日本においては、Curio社製品の販売とともに、これら製品を活用した空間解析受託サービスも開始します。当社は、NGS技術を用いた様々なタイプのシーケンサーによる遺伝子解析サービスを行っており、バルク解析、シングルセル解析に加え、空間解析までの幅広い需要にこたえ、先端的なバイオ研究を支援してまいります。

【TBUSH社について】

名称

Takara Bio USA Holdings, Inc.

所在地

2560 Orchard Parkway, San Jose, CA 95131 USA

代表者の役職・氏名

Chairman 宮村 毅

事業内容

子会社の管理

設立年月日

2005年7月

【Curio社について】

名称

Curio Bioscience, Inc.

所在地

4030 Fabian Way, Palo Alto, CA 94303 United States

代表者の役職・氏名

Stephen Fodor, Co-founder & CEO

事業内容

空間解析用研究試薬の開発・製造・販売

資本金

4,492千ドル

設立年月日

2021年1月29日

【語句説明】

(1)空間トランスクリプトーム解析(空間解析)

遺伝子が組織中のどの細胞で発現していたかという情報(位置情報)を保持しながら高い分解能で網羅的に解析する技術です。

 

(2)次世代シーケンシング(NGS)

最新の塩基配列解析法で、数百から数億個の塩基配列データを並列に大量取得します。次世代シーケンシングにより、迅速で低コストでの塩基配列解析が可能となり、多くの遺伝子解析の場面で使用されるようになっています。次世代シーケンシング法に基づく解析装置を次世代シーケンサーと言います。

 

(3)バルク解析

組織や血液など複数の細胞から得られたRNA(遺伝子)をまとめて解析する手法です。細胞集団のRNA解析をするため、集団の平均的な遺伝子発現が解析できます。

 

(4)シングルセル解析

1細胞レベルでゲノム解析やRNA解析を行うことで、細胞集団の平均的な解析ではなく個々の細胞の解析をすることが可能になる技術です。再生医療用細胞の品質評価や疾患メカニズムの解明に用いられています。

【製品画像】 

Curio Trekker

 

【製品情報サイト】 

Curio Trekker Single-Cell Spatial Mapping Kit

https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009750

Curio Seeker Spatial Transcriptomics Kits

https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009749

【製品に関するお問い合わせ先】 

テクニカルサポートライン

 オンライン:https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php

 電話:077-565-6999(平日9時-17時)

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

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