タカラバイオ株式会社は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを作製する研究用試薬「AAVpro® Helper Free System (AAV9)」~{(注1)}シリーズを11月15日より発売します。

 

 AAVベクターは、ヒトに対して病原性を示さないウイルスに由来し、ゲノムに組み込まれることがないことから、安全性の高いベクターとして知られています。また、多様な細胞に効率よく遺伝子を導入できることから、遺伝子治療の基礎研究から臨床まで広く利用されています。

 AAVには多くの血清型~{(注2)}があり、血清型により異なる組織指向性を示すことが知られています。この特性を利用し、AAVベクターを使い分け、安全で効率の良い遺伝子治療の開発・実用化が進められています。

 当社は、2013年に日本で初めてAAVベクター作製用の研究用試薬を製品化し、これまでに5種類のAAVベクター(AAV1, AAV2, AAV5, AAV6, AAV8)作製キットを発売しています。今回発売するシリーズは、中枢神経系、心臓、肝臓、筋肉等への指向性が高い血清型9(AAV9)ベクターを作製することができます。

 

【特長など】

  • ヘルパーウイルスを使用せずに~{(注1)}、簡便、安全かつ効率的にAAV9ベクターを作製
  • AAVベクターの導入効率を確認するコントロールベクターおよび遺伝子発現を特異的に抑えるシステムを組み込んだAAVベクター作製キットも用意
  • 精製キット、力価測定キットなど、AAVベクターを用いる研究開発に不可欠な製品群を「AAVpro®シリーズ」~{(注3)}としてラインアップ

 

 さらに本シリーズの発売と同時に、臨床での使用を想定して、カナマイシン耐性遺伝子を有したAAVベクター(AAV2, AAV6, AAV8, AAV9)高容量プラスミドも新たにラインアップします。

 

 当社は、CRDMO~{(注4)}として、独自のCereAAV™シリーズ~{(注5)}をはじめ、各種AAVベクターについて、小規模な開発ステージから大規模な臨床グレードに対応した製造受託を展開しています。大規模製造では2,000リットル浮遊培養にも対応可能な充実した関連施設の設備を有しています~{(注6)}。さらに、GMP/GCTP~{(注7)}に準拠した各種ウイルスベクターの製造、品質試験を実施することで、製造プロセスや試験法の開発からバリデーション、薬事サポートに至るまで、臨床開発をトータルでサポートしています。

 

 今後も、遺伝子治療に関連する基盤技術開発を進め、遺伝子導入用ベクター関連製品の提供やCRDMO受託を通じて、製薬企業やバイオベンチャーの遺伝子治療の開発、社会実装を積極的に支援していきます。

 

【製品概要】 ※ 本製品製品は研究用です

製品名

製品コード

容量

希望小売価格(税別)

AAVpro® Helper Free System (AAV9)

6690

1 kit

211,000円

AAVpro® Packaging Plasmid (AAV9)

6691

1 mg each

211,000円

AAVpro® Helper Free System (AAV9-LacZ)

6692

1 kit

211,000円

AAVpro® Helper Free System (AAV9-CRE Recombinase)

6693

1 kit

211,000円

AAVpro® Helper Free System (AAV9-2xU6)

6694

1 kit

211,000円

AAVpro® Helper Free System (AAV9-U6-ZsGreen1)

6695

1 kit

211,000円

pAAV-ZsGreen Vector (KmR)

6610

20 μg

148,000円

AAVpro® Packaging Plasmid (AAV2) (KmR)

6266

1 mg each

211,000円

AAVpro® Packaging Plasmid (AAV6) (KmR)

6616

1 mg each

211,000円

AAVpro® Packaging Plasmid (AAV8) (KmR)

6866

1 mg each

211,000円

AAVpro® Packaging Plasmid (AAV9) (KmR)

6696

1 mg each

211,000円

【製品画像】

AAVpro® Helper Free System (AAV9)

 

【製品情報サイト】

組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)関連シリーズ

https://catalog.takara-bio.co.jp/product/list.php?catcd=B1000467&subcatcd=B1000890#B1000890

【製品に関するお問い合わせ先】 

テクニカルサポートライン

 オンライン:https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php

 電話:077-565-6999(平日9時-17時)

 

 

(注1)Helper Free System

一般的にAAVの複製には、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスが必要だが、Helper Free Systemでは、ヘルパーウイルスを使用せずに、目的遺伝子を含むAAVベクターを調製できる。

 

(注2)AAVの血清型

AAVには100を超える血清型があり、それぞれ異なる組織指向性を持つ。

例えば、血清型2(AAV2)は指向性が低く、血清型1(AAV1)は筋肉、肝臓、気道、中枢神経系など、血清型5(AAV5)は中枢神経系、肝臓、網膜など、血清型6(AAV6)は心臓、筋肉、肝臓など、血清型8(AAV8)は肝臓、筋肉、中枢神経系への指向性が高いとされる。

 

(注3)AAVpro®シリーズ

当社は、AAVベクターを用いた研究開発を強力にサポートする製品を「AAVpro®シリーズ」として発売している。

・製品情報 アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子導入

 

(注4) CRDMO

(Contract Research, Development and Manufacturing Organization)

CDMO に”Research”の要素を取り入れることで、遺伝子・細胞治療の開発者のために、より強化された開発から製造までの一連を支援する事業を意味する。開発の初期段階(Research フェーズ)から、技術力を有する当社が伴走することによって開発者を支援し、遺伝子細胞治療や遺伝子検査等の開発を促進・加速し、未充足の治療領域へ貢献するビジネスモデル。

 

(注5)CereAAV™シリーズ

当社が独自に開発を進める遺伝子治療用AAVベクター。マウス、マーモセットおよびカニクイザルで脳への高い遺伝子導入効率を示す。

・ニュースリリース

遺伝子治療用ベクターCereAAV™、カニクイザル脳への遺伝子導入を確認、さらに遺伝子導入効率の高い改変体を開発 (2023年9月11日付)

 

(注6)ラージスケールでのウイルスベクター受託製造

・ニュースリリース

サーモフィッシャー製のシングルユースバイオリアクターを活用したラージスケールでのウイルスベクター受託製造を新たに開始 (2024年4月22日付)

・受託サービス アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター作製

 

(注7)GMP/GCTP

医薬品や再生医療等製品の製造管理基準

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

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