タカラバイオ株式会社は、農研機構 動物衛生研究部門と、豚熱・アフリカ豚熱のウイルス検査工程をより迅速・簡便化する前処理試薬「Tissue Direct Solution E」(以下、「本製品」)を共同で開発しました。本製品は、豚熱・アフリカ豚熱ウイルス検出用リアルタイムPCR試薬および豚熱ウイルス遺伝子型1識別用リアルタイムPCR試薬と組み合わせて使用可能です。本製品は10月18日より発売します。

 

 農林水産省が公開している指針(注1)では、農場への豚熱・アフリカ豚熱(注2)の伝播に野生イノシシが大きく関与するとされており、各都道府県に対して積極的に各ウイルスの浸潤状況調査を行うよう求めています。豚熱については、まん延防止を目的としてワクチンの散布が行われており、散布地域で陽性と判定されたイノシシについては、豚熱ウイルスの野外株に感染したイノシシか、ワクチンを摂取したイノシシかを識別する検査が行われます。また、各農場では防疫対策として飼養されている豚の検査も行われています。

 

 タカラバイオはこれまで、農研機構と、両疾病を判定する遺伝子検査方法の改良を進め、検査材料からのウイルス核酸の精製工程が不要なリアルタイムPCR法の開発を行ってきました。しかし、検査材料として組織片を用いる場合、事前処理として組織片を乳剤化する必要があり、手間と労力がかかっていました。

 

 この課題に対し本製品は、10分間の熱処理と2分間の遠心分離という簡単な操作で、乳剤化を行うことなく豚およびイノシシの組織片からウイルス核酸を抽出することができます。乳剤化によるコンタミネーションリスクや操作の煩雑さを解消することで、より迅速・簡便に検査が行えます。

 

 なお、本製品は農林水産省「令和6年度安全な農畜水産物安定供給のための包括的レギュラトリーサイエンス研究推進委託事業のうち短期課題解決型研究(野生イノシシにおけるアフリカ豚熱防疫措置の具体化に関する緊急実証研究  JPJ008617. 23081310)」により開発した成果を活用しています。

 

 当社は、細菌やウイルスのPCR検査キットを基礎研究、産業分野向けに多く販売しています。今後もPCR検査の迅速・効率化に役立つ技術、製品の開発を進め、食品衛生などの産業分野におけるPCR技術の利用を拡大していきます。

 

 

(注1)農林水産省「豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針」 令和2年(2020年)7月1日農林水産大臣公表、令和6年(2024年)3月28日一部変更
同 「アフリカ豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針」 令和2年(2020年)7月1日農林水産大臣公表、令和6年(2024年)3月28日一部変更

 

(注2)豚熱およびアフリカ豚熱は、それぞれ豚熱ウイルス、アフリカ豚熱ウイルスにより起こる豚、イノシシの伝染病です。どちらも強い感染力と高い致死性を持ち、発生した場合は養豚産業に甚大な被害を及ぼす恐れがあります。豚熱は、国内では2015年に清浄国の認定を受けましたが、2018年以降、相次いで発生が確認されており防疫体制の構築が進められています。アフリカ豚熱は、日本ではこれまで発生が確認されていませんが、近隣諸国では継続的に発生しており、侵入防止と発生予防が求められています。

 

【製品概要】 ※ 本製品製品は研究用です

製品名

製品コード

容量

希望小売価格(税別)

Tissue Direct Solution E

9828

100回

65,000円

【製品画像】

【製品に関するお問い合わせ先】 

テクニカルサポートライン

 オンライン:https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php

 電話:077-565-6999(平日9時-17時)

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

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