タカラバイオ株式会社は、より高品質なmRNAを効率的に合成できる高機能な試薬「Takara IVTpro™ mRNA Synthesis System (low dsRNA)」(製品コード6131、以下、本試薬)およびその関連試薬を本年7月17 日に発売します。

 

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンの実用化をきっかけに、mRNAは新たな創薬モダリティ(治療法)として、感染症予防だけでなく、がん治療などの目的でも研究開発が活発になっています。人工的に酵素合成したmRNAには、目的とする一本鎖RNAに加え、RNA分子同士が重なった状態のdsRNA(二本鎖RNA)が不純物として生じ、意図しない免疫反応を引き起こすことが知られています。このため安全で有効なmRNAワクチンの製造には、このdsRNAの生成を最小限に抑える必要があります。

 本試薬は、販売中のmRNA合成用の製品である「Takara IVTpro™ mRNA Synthesis System」(製品コード6141)を改良することにより、不純物であるdsRNAの生成を大幅に低減することを可能にしました。

<本試薬および関連試薬の特長>

◆Takara IVTpro™ mRNA Synthesis System (low dsRNA)(製品コード6131)

 mRNA合成用鋳型DNAを作製する試薬「Cloning Kit for mRNA Template (BspQ I)」(製品コード6133)および鋳型DNAからmRNAを合成する試薬「Takara IVTpro™ T7 mRNA Synthesis Kit (low dsRNA)」(同6134)の2種で構成しています(下記参照)。それぞれの試薬の改良により、より高品質なmRNAの効率的な調製が可能となりました。

 

◆Cloning Kit for mRNA Template (BspQ I)(製品コード6133)

 mRNA合成の際に使用する鋳型DNAを作製するためのキットです。従来品よりもPoly(A)配列を長くし、さらにPoly(A)配列の3’側(後部)を制限酵素BspQ Iで切断できるため冗長な塩基配列が残らず、より効率的な遺伝子発現が期待できます。

 

◆Takara IVTpro™ T7 mRNA Synthesis Kit (low dsRNA)(製品コード6134)

 鋳型DNAよりmRNAを合成するためのキットです。合成酵素に改変型T7 RNAポリメラーゼ(注1)を用いています。高効率なキャップ構造(注2)の付加とmRNA合成時の不純物であるdsRNAが大幅に低減され、ワクチン開発用のmRNAの調製に適しています。

 本製品で用いている改変型T7 RNAポリメラーゼ(PrimeCap™ T7 RNA Polymerase (low dsRNA))は、HQグレード品(注3)、GMPグレード品(注4)も今後販売予定です。

 

 当社は、mRNAワクチンの研究用試薬から製造用のGMPグレード品まで、多様なmRNA関連製品の開発・販売を行っています。また、mRNAワクチンの開発から製造、品質試験のCDMO受託サービスを幅広く提供し、新規モダリティであるmRNAワクチンの普及をワンストップで支援していきます。

 

【製品概要】

製品名

製品コード

容量

希望小売価格(税別)

Takara IVTpro™ mRNA Synthesis System (low dsRNA)

6131

1セット

70,000円

Cloning Kit for mRNA Template (BspQ I)

6133

10反応分

25,000円

Takara IVTpro™ T7 mRNA Synthesis Kit (low dsRNA)

6134

20反応分

49,000円

Takara IVTpro™ mRNA Synthesis System (BspQ I)

6148

1セット

59,000円

※ Takara IVTpro™ mRNA Synthesis System (BspQ I)(製品コード6148)は、新しいCloning Kit (同6133)と従来の合成試薬(同6144)との2種で構成したセット品です。鋳型DNAを変更しつつ、従来の合成試薬を引き続き使用できます。

 

【製品画像】

【製品のお問い合せ先】 

テクニカルサポートラインまでお問い合わせください。

オンライン: https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php

電話: 077-565-6999(平日9時-17時)

(注1)改変型T7 RNAポリメラーゼ

「PrimeCap™ T7 RNA Polymerase (low dsRNA)」(製品コード2560A)として販売中の、学校法人関西文理総合学園長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科白井剛教授と共同開発した酵素です。

関連ニュースリリース:

mRNAワクチン開発に適した高品質なRNA合成酵素(研究用試薬)を発売(2023年12月15日付)

https://www.takara-bio.co.jp/ja/news/newsr_23m1030hspr_rf.html

 

(注2)キャップ構造

真核生物のmRNAの5’末端に見られる修飾構造で、タンパク質の合成活性に必要な構造です。キャップ構造の付加効率を高めることが細胞内でのタンパク質の合成効率(ワクチン効果)向上につながります。

 

(注3)HQグレード

HQとはHigh Qualityの略称であり、GMPグレード製品とほぼ同じ原材料と工程を用いて製造され(但し、準拠する規格、製造設備は異なる)、同じ品質試験を実施するなど、ワクチン製造工程のプロセス開発などに適しています。当社のHQグレート製品では具体的には以下の品質項目を確認しています。

 1.不純物試験(エンドトキシン、混入微生物、酵素産生工程由来の核酸およびタンパク質)により品質を確認。

 2.最終組成液に生物由来原材料およびβラクタム(抗生物質)を含まないことを確認。

 3.各種ヌクレアーゼ試験により、核酸分解活性がないことを確認。

 

(注4)GMPグレード

PIC/S(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)のGMPガイドラインに準拠して製造および品質管理を実施しており、医薬品の原薬製造に適した製品です。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

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