タカラバイオ株式会社は、順天堂大学発のベンチャー企業である株式会社ギャップジャンクション(以下、ギャップジャンクション社)とGJB2遺伝子変異型難聴~{(注1)}に対するアデノ随伴ウイルス(以下、AAV)ベクター遺伝子治療の開発に関する業務提携基本契約(以下、本提携)を、2024年6月18日付で締結しました。

 

 ギャップジャンクション社は、順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学講座の神谷和作准教授および池田勝久名誉教授の研究成果をベースに立ち上げられた、難聴やギャップジャンクション関連疾患~{(注2)}に対して革新的治療薬の実現を目指す創薬スタートアップで、神谷准教授は代表取締役に就いています。

 当社は、神谷准教授との共同研究により開発した、マウス内耳組織指向性AAV改変体ベクター(SonuAAV™)等のAAV改変体に、遺伝性難聴の主要な原因遺伝子であるGJB2遺伝子を搭載し、難聴モデルマウスに投与した結果、聴力が回復することを確認しています~{(注3)}

 

 本提携により、ギャップジャンクション社はGJB2遺伝子変異型難聴に対するAAV遺伝子治療薬の開発及び臨床試験を、当社は製造工程を含む開発び製造を担い、上市後の独占的製造権を獲得します。両社協業により、世界初のGJB2遺伝子変異型遺伝性難聴に対する遺伝子治療薬の実現を加速させ、1日でも早く、治療法がない患者様へ有効な治療法を届けることを目指します。

 

 なお、本提携による今期の当社業績への影響は軽微です。

 

 当社では、CRDMO(Contract Research, Development and Manufacturing Organization)事業の一環として、独自に開発したプラットフォーム技術等を活用し、スタートアップ企業に伴走する包括的支援サービスを提供してまいります。

 

(注1)GJB2遺伝子変異型難聴

GJB2 (Gap Junction Protein Beta2) 遺伝子の変異が原因の難聴。遺伝性難聴の中でも、GJB2遺伝子変異型は、全体の半分以上の割合を占める、世界最大の遺伝性難聴型。根本的治療法や治療薬は存在せず、聴力と言語発達の障害によりQOLが著しく低下する。

 

(注2)ギャップジャンクション関連疾患

ギャップ結合とは、細胞間を貫くタンパク質複合体によって形成される細胞間チャネル(ギャップ結合チャネル)によって、隣り合う細胞同士をつなぎ、物質移動を可能にする細胞間結合である。聴覚障害の場合、ギャップ結合が崩壊すると細胞間の物質移動が困難となり、音の振動を電気信号に変換できなくなることで難聴を生じる。

 

(注3)

Tanaka Y, Kamiya K et.al., A Novel AAV2 Mutant SonuAAV~{™} Expressing mGjb2 Can Improve Hearing in Adult Gjb2-Deficient Mice by Cochlear Perilymph Administration, Molecular Therapy, Vol32 No.4S1, p.262, 2024.

研究成果発表のお知らせ:第27回米国遺伝子細胞治療学会学術集会(2024年5月2日付)

https://www.takara-bio.co.jp/ja/notice/new_info_240502r1.html

 

 

<ギャップジャンクション社について>

社名:株式会社ギャップジャンクション(Gap Junction Therapeutics, Inc.)

設立:2021年4月

代表者:代表取締役 神谷和作

事業内容:難聴及びギャップジャンクション関連疾患を対象とした医薬品の開発及び開発支援

本社所在地:東京都文京区本郷3-4-3ヒルズ884御茶ノ水ビル

URL:https://www.gapjunction.jp/

 

<関連するサービス、ニュースリリース>

(1) 受託サービス

アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター作製

https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?catcd=B2000003&subcatcd=B1001106&unitid=U100007814

 

(2) ニュースリリース

内耳を標的とした遺伝子治療用新規アデノ随伴ウイルス(AAV)改変体ベクターを開発(2023年10月4日付)

https://www.takara-bio.co.jp/ja/news/newsr_23m1004mav.html

 

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

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