タカラバイオ株式会社は、遺伝子治療において中心的な役割を果たすアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの、NGS(次世代シーケンサー)を用いたロングリード解析による構造解析を受託サービスメニューに加えました。

 

 AAVベクター~{注1}は安全性や組織指向性などの点で臨床応用の範囲が広く、複数の遺伝子治療製品が承認されています。一方で、製造工程における遺伝子欠損~{注2}、宿主細胞由来の遺伝子挿入~{注3}、ITR(Inverted Terminal Repeat)~{注4}の力価評価への影響などが品質管理の観点で課題となっており、AAVベクターのゲノムの詳細な分析法の確立が求められています。

 

 当社はこのたび、ロングリードシーケンサーを用いてAAVベクターのゲノム構造の確認および遺伝子変異を確認する品質管理法を開発しました。今後、CDMOサービスとして提供していきます。

ロングリードシーケンサーを用いたAAVベクターゲノム構造の確認手法の概略図

 

 当社は、「再生医療等製品関連受託」と「遺伝子解析/検査関連受託」の二本柱でCDMO事業を推進しており、これらのシナジー効果による独自のサービスを展開します。

 本開発については第29回日本遺伝子細胞治療学会学術集会(2023 年9月11日-13日、大阪国際会議場 演題番号:O10-4)において発表します。

 

【関連サービス】

de novo ゲノム解析

https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?catcd=B2000004&subcatcd=B1000488&unitid=U100004297

 

【問い合わせウェブサイト】

各種受託サービスお問い合わせ

https://www.takara-bio.co.jp/research/support/jutaku/index.php

 

【語句説明】

(注1)アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター

ウイルスベクターの一種。AAVはヒトへの病原性が知られておらず、カプシド構造タンパク質により、種々の組織/細胞への感染指向性が異なることから、多くの臨床試験で用いられている。

 

(注2)欠損

ベクター製造の際に、AAVベクター内にDNAの一部が欠けることによって導入遺伝子の機能が失われること。

 

(注3)細胞由来ゲノムの挿入

ベクター製造の際に、宿主である細胞由来のゲノムがベクター内に挿入されること。

これによって想定しない遺伝子がベクターによって導入される可能性がある。

 

(注4)ITR(Inverted Terminal Repeat)

AAVゲノムの両末端に存在するT字型のヘアピン構造。

このITRをターゲットとしてウイルスゲノムを検出し力価を測定する。

 

(注5)NGSロングリード解析

NGS(次世代シーケンサー)は、塩基配列データを並列に取得することで大量のシーケンスデータを取得できる装置の一般名称。NGSにはショートリードシーケンサーとロングリードシーケンサーがあり、ロングリードシーケンサーは数万塩基の連続配列情報を取得することができるため、ゲノム構造の解析に適している。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

当資料取り扱い上の注意点
資料中の当社による現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものであります。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決などがありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。