タカラバイオ株式会社は、東北大学東北メディカル・メガバンク機構~{(注1)}(以下、ToMMo)と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構が推進する東北メディカル・メガバンク計画~{(注2)}(以下、TMM)のコホート~{(注3)}事業を通じて収集した試料・情報の利活用を促進する「統合データベースdbTMM利用支援事業者登録制度」~{(注4)}(以下、本制度)に申請し、初の支援事業者として登録されました。
疾患の解明や創薬研究では、大規模なゲノム情報と健康・医療情報を備えたコホート等の研究基盤を活用することで、研究を加速する事例が多くなっています。日本人のゲノム情報と生体試料、健康情報、医療情報等を複合させたバイオバンクを構築し運営するTMMは、研究者に試料・情報を分譲~{(注5)}することで、様々な研究に貢献してきました。2023年4月には統合データベースdbTMM利用支援を行う事業者を登録する本制度が整備され、更に利活用が進められています。
研究者は本制度を利用することで、従来、自身で行っていた統合データベースdbTMMの検索を通じた研究計画の立案(①)や、TMMに対するデータならびに試料分譲やToMMoスーパーコンピュータ利用の申請手続き(②)について、当社による支援を受けることが可能となります。また、その後の分譲データを用いた解析(③)を、当社が代行することが可能となり、TMMの試料・情報を用いた研究をより利用しやすくなります。
当社は、本制度の「支援業務で扱う主な研究領域」として、「ヒトの疾患に関わる遺伝統計学的解析(ゲノムワイド関連解析、レアバリアント解析)※」に申請し、登録されました。研究者が持つ疾患群のゲノム情報に、本制度で取得したTMMの一般住民群のゲノム情報を加えることで、より研究価値の高い解析サービスを展開することが可能になります。これにより、GWAS※などの遺伝統計学的解析サービスにおいて健常者群のデータ確保のコストを軽減したサービスを提供することが可能となります。
当社は、本制度を通して、これまでのオミックス(注6)解析サービスを拡大し、疾患の解明や創薬研究の解析サービスをより広く強力にサポートしていきます。
※【本サービスの紹介】
https://catalog.takara-bio.co.jp/com/tech_info_detail.php?mode=3&masterid=M100007639
【お問い合わせウェブサイト】
https://www.takara-bio.co.jp/research/support/jutaku/index.php
【語句説明】
(注1)東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)
岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構とともに東北メディカル・メガバンク計画を推進する東北大学の組織。
https://www.megabank.tohoku.ac.jp/
(注2)東北メディカル・メガバンク計画(TMM)
東日本大震災被災地の健康復興と未来型医療の実現のため、宮城県および岩手県を中心とした被災地を含む地域の住民を対象として健康調査を実施するとともに、協力者の生体試料、健康情報、医療情報等を収集して15万人規模のバイオバンクを構築し、ゲノム情報等と併せて解析することにより、東北発の個別化医療等の基盤を形成し、創薬等の新たな産業の創出を目指す計画。
(注3)コホート
疾患とその要因を追跡調査する際の対象集団のこと。疾患に関与すると考えられる要因を持つ集団と持たない集団に対して将来にわたってデータを収集し、追跡調査することで、疾患に関連する要因を特定する。
(注4)統合データベースdbTMM利用支援事業者登録制度
登録された支援事業者が研究者からの委託を受け、東北メディカル・メガバンク計画によって得られた成果である健康調査情報、ゲノム・オミックス情報および各種解析情報等がまとめられている統合データベースdbTMMから、必要な情報を検索し研究計画の立案を支援できる制度。
(注5)分譲
計画的に整備された試料・情報を一定の手続きのもとに国内の産学の研究者が研究に利用できるようにした仕組み。研究実施にTMMの研究者は関与しないため、研究により生じた知的財産は利用者に帰属されるという特徴がある。
(注6)オミックス
生体内の分子を網羅的にまとめた情報のこと。遺伝子をはじめとした遺伝情報の全体を指すゲノムや、転写産物であるmRNA情報全体を指すトランスクリプトームなどがある。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970