タカラバイオ株式会社は、遺伝子導入用アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを作製する研究用試薬 「AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8)」~{(注1)}(以下、本製品)を1月23日より販売します。
AAVベクターは、ヒトに対し病原性を示さないウイルスに由来し、ゲノムに組み込まれることがないことから、安全性の高いベクターとして知られています。また、多様な細胞に効率よく遺伝子を導入できることから、遺伝子治療の基礎研究から臨床まで広く利用されています~{(注2)}。
さらに、AAVには多くの血清型(セロタイプ)~{(注3)}があり、血清型により組織指向性を持つことが知られています。この特性を利用し、各血清型のAAVベクターを使い分け、安全で効率のよい遺伝子治療の開発が進められています。
当社は、2013年に日本で初めてAAVベクター作製用の研究用試薬を製品化し、これまでに4種類のAAVベクター(AAV1、AAV2、AAV5、AAV6)作製キットを上市しています。今回発売する本製品では、肝臓、筋肉、中枢神経への指向性が高い血清型8(AAV8)由来のベクターを作製することができます。
<本製品の特長など>
- ヘルパーウイルスを使用せずに~{(注1)}、簡便かつ安全に血清型8のアデノ随伴ウイルス(AAV8)ベクターを効率的かつ簡便に作製
- AAVベクターの導入効率を確認するコントロールベクターや、遺伝子発現を特異的に抑えるシステムを組み込んだAAVベクターの調製キットも用意
- 精製キット、力価測定キットなど、AAVベクターを用いた遺伝子治療の研究開発に不可欠な製品群を「AAVpro~{®}シリーズ~{(注4)}」としてラインアップ
当社は、CDMOとして、独自のCereAAV~{TM}~{(注5)}をはじめ各種AAVベクターの小規模な開発ステージの製造受託から大規模な臨床グレードの製造受託に対応しています。大規模製造では2,000リットル浮遊培養にも対応するなど、関連施設の整備を進めています(今秋サービス開始予定)。さらに、GMP/GCTP~{(注6)}に準拠した各種ウイルスベクターの製造、品質試験を実施することで、製造プロセスや試験法の開発からバリデーション、薬事サポートに至るまで、臨床開発をトータルでサポートしています。
当社は、今後も、遺伝子治療に関連する基盤技術開発を進め、遺伝子導入用ベクター関連製品の提供やCDMO受託を通じて、製薬企業やバイオベンチャーの遺伝子治療の開発、社会実装を積極的に支援していきます。
【製品概要】
製品名 |
製品コード |
容量 |
希望小売価格(税別) |
---|
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8) |
6680 |
1 Kit |
158,000円 |
AAVpro~{®} Packaging Plasmid (AAV8) |
6681 |
1 mg each |
158,000円 |
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8-CRE Recombinase) |
6682 |
1 Kit |
158,000円 |
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8-LacZ) |
6683 |
1 Kit |
158,000円 |
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8-2xU6) |
6684 |
1 Kit |
158,000円 |
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8-U6-ZsGreen1) |
6685 |
1 Kit |
158,000円 |
【製品画像】
AAVpro® Helper Free System (AAV8)
※写真はイメージです。製品の仕様、外観は予告なしに変更することがあります。
【製品情報サイト】
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8)/ AAVpro~{®} Packaging Plasmid (AAV8)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007791
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8-CRE Recombinase)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009080
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8-LacZ)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009081
AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8-2xU6)/ AAVpro~{®} Helper Free System (AAV8-U6-ZsGreen1)
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009082
【製品のお問い合せ先】
テクニカルサポートラインまでお問い合わせください。
オンライン: https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php
電話: 077-565-6999(平日9時-17時)
<語句説明>
(注1) Helper free system
一般的にAAVの複製には、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスが必要ですが、Helper Free Systemではヘルパーウイルスを使用せずに、目的遺伝子を含むAAVベクターゲノムを含んだアデノ随伴ウイルスベクター(AAVベクター)を調製できます。
(注2) 承認・後期臨床開発中の遺伝子治療用ベクター(出典:国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬品部ホームページ)
・承認された遺伝子治療製品 (2022年12月時点) in vivo遺伝子治療製品
https://www.nihs.go.jp/mtgt/pdf/section1-1.pdf
・承認申請中・第3相臨床試験段階にある主な遺伝子治療製品 (2022年12月時点) in vivo遺伝子治療製品
https://www.nihs.go.jp/mtgt/pdf/section1-4.pdf
(注3) AAVの血清型
AAVには100を超える血清型があり、それぞれ異なる組織指向性を持っています。
例えば、血清型2(AAV2)は指向性が低く、血清型1(AAV1)は筋肉、肝臓、気道、中枢神経系等、血清型5(AAV5)は中枢神経系、肝臓、網膜等、血清型6(AAV6)は心臓、筋肉、肝臓等への指向性が高いと言われています。
(注4) 「AAVpro~{®}シリーズ」
当社は、AAVベクターを用いた遺伝子治療の研究を強力にサポートする製品を「AAVpro~{®}シリーズ」として発売しています。詳細は下記をご覧ください。
https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007828
(注5) 「脳指向性遺伝子治療用ベクター「CereAAV™」の受託製造サービスを開始」(2022年7月20日)
https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_22m0720xgU87wbLkw9.html
(注6) GMP/GCTP
医薬品や再生医療等製品の製造管理基準
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970