ノロウイルスの遺伝子型判別法の成功率向上を実現

　タカラバイオ株式会社は、群馬パース大学との共同研究を通じて、ノロウイルスの遺伝子型判別法の成功率向上に成功しました。当社と群馬パース大学大学院 木村博一教授、大阪健康安全基盤研究所 左近直美主幹研究員は、この研究成果を第43回日本食品微生物学会学術総会（2022年9月29日～30日）において発表します~{（注1）}。

　また、当社は、本成果に基づくPCRキット（以下、本試薬）を本年12月に発売する予定です~{（注2）}。

 

　感染性胃腸炎の主要な原因ウイルスであるノロウイルスには、多様な遺伝子型が存在します~{（注3）}。食中毒事例での感染源や感染経路およびシーズンごとの流行状況を把握するために、遺伝子解析による分子疫学調査が重要であるとされ、遺伝子型判別が行われています~{（注4）}。

　新たに開発した判別法では、PCR増幅用のプライマー配列を改良することにより、各種遺伝子型に対する網羅性が大きく向上しました。これにより、安定的な遺伝子型判別が可能となりました。

 

　本試薬は、遺伝子型判別のために必要な試薬（対象の遺伝子領域を増幅するためのRT-PCR試薬、増幅産物の塩基配列解析のためのプライマーなど）がすべて含まれたオールインワンタイプのキットで、ノロウイルスによる感染症胃腸炎の流行に向け~{（注5）}疫学調査の効率化に寄与することが期待されます。

 

　当社は、PCR技術の産業分野への展開の一環として、行政機関および検査会社向けに、ウイルスや細菌の検出キットを開発しています。特にノロウイルス検出用試薬については、検便検査、食中毒検査、疫学調査に使用される試薬を網羅しています。この他に、腸管出血性大腸菌やレジオネラ属菌等を中心に、さまざまな検査・場面に応じた製品を100種類以上ラインナップしています。

　当社は、基礎研究から産業応用まで、幅広い用途に応じた遺伝子解析・検査分野の製品開発・提供を通じ、人々の健康に貢献していきます。

 

 

（注1）第43回日本食品微生物学会学術総会 口頭発表（C-1-02）「ノロウイルス遺伝子型判別（dual typing法）の網羅性改善」　　https://confit.atlas.jp/guide/event/jsfm2022/top?lang=ja

 

（注2）本PCRキットは研究用試薬です。詳細は製品情報ページをご参照ください。本年9月22日より受注を開始します。

 

（注3）ノーウォークウイルス（ノロウイルス）の遺伝子型（2015年改訂版）、病原微生物検出情報

https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/778-disease-based/na/norovirus/idsc/iasr-news/5913-pr4274.html

 

（注4）「病原体検出マニュアル ノロウイルス（第1版）令和元年6月（国立感染症研究所発行）

https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/Norovirus20190611.pdf

ノロウイルスのRdRp（RNA-dependent RNA polymerase）領域の一部およびCapsid領域の一部の塩基配列を解析することにより、両領域における遺伝子型の判別を行います。

 

（注5）国立感染症研究所 ノロウイルス等検出状況

https://www.niid.go.jp/niid/ja/norovirus-m/2082-idsc/iasr-noro/5701-iasr-noro-150529.html

 

 

 

 

【製品概要】※本製品は研究用試薬です