タカラバイオ株式会社は、免疫研究向けT 細胞レパトア解析~{※1}(T細胞受容体多様性解析)受託サービス(以下、本サービス)をバージョンアップしました。
T細胞受容体(TCR)~{※2}の多様性は、生体の免疫状態を表す代表的な指標として、がんや感染症などの疾患、薬物応答などの免疫分野で盛んに解析されています。
多様性評価にあたっては、次世代シーケンサー(NGS)~{※3}を用いて、TCR抗原認識部位を遺伝子レベルで解析するのが一般的です。その際、解析対象となるT細胞から得られる遺伝子はごく微量なため、遺伝子増幅(PCR)が行われますが、微量な遺伝子をバイアスなく正確に増幅することが求められます。
本サービスは、新たにバージョンアップしたヒト TCRレパトア解析用ライブラリー作製キット「SMARTer Human TCR a/b Profiling Kit v2」(当社製品)~{※4}を使用し、微量な臨床検体から低バイアスで良質なTCR遺伝子ライブラリーを作製します。
さらに遺伝子解析では、当社の圧倒的なNGS解析能力を活かし、膨大な遺伝子情報を一挙に取得し、解析結果を提供します。
<本サービスの特長>
- 微量な臨床検体(例:末梢血白血球total RNA 10ng~1μg、T細胞RNA 1~100 ng、T細胞 1,000~10,000個)などからSMARTテクノロジー~{※5}と5’RACE法~{※6}を応用し、完全長TCR遺伝子を取得
- 新技術UMI(分子バーコード)を利用し、PCR増幅時のバイアスの影響が少ない良質な遺伝子ライブラリーを作製
- 新専用情報解析用ソフトウェアCogent NGS Immune Profiler Softwareを使用し、正確に抗原応答部位(CDR)を同定
- 検体間の多様性を視覚的に比較できるビューワーを新たに提供
当社は、今後もTCRレパトア解析をはじめ、ネオアンチゲン~{※7}予測サービスなど、がん免疫療法分野研究などに有用なサービスを提供していきます。
(注)本サービスは研究を目的としたサービスです。
【本サービスの詳細】
【お問い合わせウェブサイト 】
https://www.takara-bio.co.jp/research/support/jutaku/index.php
【語句説明】
※1 T細胞レパトア解析
血中に多く含まれるリン球の一種で免疫反応と深く関わりのあるT細胞の細胞表面に発現する受容体(TCR)を網羅的に解析することを言います。
※2 TCR
T細胞上に発現する受容体で、抗原提示細胞や感染細胞、がん細胞などの表面にある抗原ペプチドを認識します。様々な抗原に対応するために、遺伝子再構成を受け多様な種類が存在します。
※3 次世代シーケンサー(NGS)
遺伝子配列(塩基配列)データを並列に大量取得することができる装置です。
※4 SMARTer Human TCR a/b Profiling Kit v2(当社製品コード:Z4478N)
NGS解析を前提としたヒトT細胞受容体(TCR)のレパトア解析用ライブラリー作製キット。SMARTテクノロジーと5' RACE法の応用によりTCRの完全長V(D)J可変領域の配列を得ることができます。本キットは、個別の分子バーコード(Unique Molecular Identifier : UMI)を付加することにより、PCR増幅バイアスによる影響を取り除き、より正確で信頼性の高いNGS解析が可能です。さらに、NGSに使用できるユニークデュアルインデックス(Unique Dual Index: UDI)により、インデックスホッピングによる他サンプルのライブラリー由来のリードコンタミネーションを防止できます。
※5 SMARTテクノロジー
逆転写酵素の持つcDNA末端でのターミナルトランスフェラーゼ活性と、鋳型を切り替えてさらにDNA複製を続ける性質を利用して、効率よく完全cDNA合成を行う技術です。PCRアダプター配列を直接付加して完全長cDNA合成できるため感度が良く、超微量の核酸サンプルからのライブラリー作製が可能です。
※6 5' RACE法
SMART法によりmRNAの5’末端にアダプター配列を酵素で付加し、RACE法によりcDNAを合成すること。遺伝子内の既知配列を利用しアダプター配列との間で逆転写反応およびPCR法によりcDNAを合成します。
※7 ネオアンチゲン
がんなどの疾患などで起こる遺伝子異常(遺伝子変異)により生じる新たなタンパク質。新たな免疫の目印としても注目されます。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970