タカラバイオ株式会社は、新型コロナウイルス変異株の変異検出用リアルタイムPCR試薬シリーズに、オミクロン株~{(注1)}に特徴的なE484A変異およびG339D変異~{(注2)}を検出する試薬(以下、本試薬)を追加し、12月15日より受注を開始しました~{(注3)}。
WHO(世界保健機関)が懸念すべき変異株(VOC)として指定しているオミクロン株は、これまでにVOCやVOI(注目すべき変異株)に指定された株と比べ、遺伝子変異が多く、感染力の増大や既存ワクチンの予防効果が低下する可能性が指摘されています~{(注4)}。
現在、オミクロン株の水際対策として、新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査が実施されています。調査では、デルタ株に特徴的なL452R変異がオミクロン株には見られないことから、L452R変異株 PCR 検査での陰性確認が行われています~{(注5)}。この検査に加え、本試薬によりオミクロン株に特徴的な変異を検出することで、迅速かつ正確なオミクロン株のスクリーニングが期待されます。
本試薬は、発売中の変異検出用試薬シリーズと同様に、RNAを精製することなくダイレクトPCRが可能で、コアキット(PCR酵素ミックスと前処理試薬のセット)と組み合わせて使用します。また、反応確認用の陽性コントロール(オミクロン株用S遺伝子配列)も発売します。
本試薬は発売中の関連試薬とともに、各種変異株の推定や新型コロナウイルス感染症の疫学調査・研究に役立つものと考えられます。当社は、今後とも、当社が保有するPCR技術、遺伝子工学技術を通して、新型コロナウイルス感染症対策に貢献してまいります。
(注1)ギリシャ文字を使用した変異株の呼称が、WHOより2021年5月31日に提唱されました
(https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/)。
WHOおよび国立感染症研究所では、オミクロン株(B.1.1.529+BA.*.系統)は、懸念される変異株(Variants of Concern : VOC)に分類されています(2021年12月15日時点)。
(注2)E484A変異は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の484番目のアミノ酸が、野生型ではグルタミン酸(E)であるところ、アラニン(A)に変異したものです。また、G339D変異は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の339番目のアミノ酸が、野生型ではグリシン(G)であるところ、アスパラギン酸(D)に変異したものです。
(注3)本試薬は研究用試薬です。体外診断用医薬品ではなく、保険適用されるものではありません。詳細は製品情報サイトをご参照ください。出荷開始日は2022年1月7日を予定しています。なお、本試薬は、群馬パース大学大学院 木村博一教授との共同研究を通じて製品化しました。
(注4)SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第3報)(2021年12月8日、国立感染症研究所)
(注5)「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査におけるゲノム解析及び変異株PCR検査について(要請)」(令和3年2月5日付け健感発0205第4号、一部改正:令和3年12月2日)
【製品概要】
製品名 |
製品コード |
容量 |
希望小売価格(税別) |
---|
Primer/Probe E484A (SARS-CoV-2) |
RC322A |
100回 |
10,000円 |
Primer/Probe G339D (SARS-CoV-2) |
RC323A |
100回 |
10,000円 |
Positive Control RNA Set (Omicron) |
RC379A |
各20㎕ |
25,000円 |
【製品画像】
(左)Primer/Probe E484A (SARS-CoV-2) (中央)Primer/Probe G339D (SARS-CoV-2) (右)Positive Control RNA Set (Omicron)
【製品のお問い合せ先】
テクニカルサポートラインまでお問い合わせください。
オンライン: https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php
電話: 077-565-6999(平日9時-17時)
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970