タカラバイオ株式会社は、臨床応用を想定し、より安全性を高めた研究用のレンチウイルスベクター~{(注1)(注2)}作製試薬 「LVpro Packaging Mix with pLVproシリーズ」 (以下、本製品)を2021年9月27日より発売します。

 

 レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)を改変した、自己増殖能欠損型ウイルスベクターです。レンチウイルスベクターを使用することで、リンパ球、造血幹細胞や神経細胞など、ほぼ全ての哺乳類細胞に遺伝子を導入することが可能となります。レンチウイルスベクターを用いて作製した遺伝子導入細胞は、導入した遺伝子が継続的に発現し、機能することから、遺伝子治療用ベクターとして広く利用されています。また、遺伝子機能解析などの基礎研究分野においても有用な実験ツールとして広く使われています。

 

 従来のレンチウイルスベクターでは、ウイルスの生産量増大の目的で使われてきた遺伝子配列がHIV-1由来であるため、安全性に対する懸念がありました。当社では、従来のレンチウイルスベクターの生産能を保持しつつ、HIV-1由来の配列を極力削り、安全性を高めることに成功しました。

 

 当社は、本製品が将来の臨床応用を想定した基礎研究や遺伝子治療研究に用いられることを期待しています。さらに、当社の事業基盤であるCDMO事業~{(注3)}においても、本製品を活用した受託メニューを展開し、製薬企業等による遺伝子治療薬などの再生医療等製品の開発を積極的にサポートしてまいります。

 

 

 

【本製品の特長】

  • HIV-1 tat~{(注4)}非依存性の第三世代レンチウイルスベクター~{(注5)}
  • 臨床での使用を想定し、HIV-1由来配列を極限まで排除し安全性を向上
  • 高生産性レンチウイルスベクターシステム

 

 

【学会発表】

本製品についての詳細な解析データを第27回日本遺伝子細胞治療学会学術集会にて発表します。

学会

第27回日本遺伝子細胞治療学会学術集会
https://www.jsgct2021.jp/index.html

日時

2021年9月9日-10月15日(オンライン発表)  ※聴講には参加登録が必要です。

演題番号

B-3

演題名

Development of the lentiviral vector production system with improved safety and high productivity

 

 

【製品概要】

製品名

製品コード

容量

希望小売価格

(税別)

LVpro Packaging Mix

6195

60回

200,000円

LVpro Packaging Mix(pLVpro-MSCV Vector)

6962

1 Set

250,000円

LVpro Packaging Mix(pLVpro-MSCV-EI Vector)

6963

1 Set

250,000円

LVpro Packaging Mix(pLVpro-EF1α Vector)

6964

1 Set

250,000円

LVpro Packaging Mix(pLVpro-MSCV-ZsGreen1 Vector)

6965

1 Set

250,000円

LVpro Packaging Mix(pLVpro-MSCV-EI-ZsGreen1 Vector)

6966

1 Set

250,000円

LVpro Packaging Mix(pLVpro-EF1α-ZsGreen1 Vector)

6967

1 Set

250,000円

 

 

【製品のお問い合せ先】

 

テクニカルサポートラインまでお問い合わせください。

オンライン: https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php

電話: 077-565-6999(平日9時-17時)

 

 

 

<語句説明>

(注1)ウイルスベクター

ウイルスが細胞などに感染した際に、自己の遺伝子を細胞などに導入する性質を利用して、人工的に目的遺伝子を導入するように改良した分子です。病原性などに関する遺伝子を除去し安全性を確保しています。

 

 

(注2) レンチウイルスベクター

レンチウイルスは、一本鎖RNAをゲノムとするレトロウイルス科レンチウイルス亜科のウイルスで、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus; HIV)、サル免疫不全ウイルス(Simian Immunodeficiency Virus; SIV)などがあげられます。レトロウイルスと同様、RNAゲノムから合成されたDNAが染色体に組み込まれますが、細胞分裂を行っていない静止期の細胞の染色体にも組み込むことができる点がレンチウイルスの大きな特徴です。遺伝子治療用レンチウイルスベクターとして、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)を改変し、自己増殖能を奪ったものが広く用いられています。

 

 

(注3) CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業

製薬企業などから医薬品の製法開発から製造までの工程を受託する事業を指します。当社では、特に、遺伝子治療薬などの再生医療等製品に注力してCDMO事業を進めています。

 

 

(注4) tat

レンチウイルスの制御遺伝子の1つで、レンチウイルスゲノムRNAの5’領域に形成される高次構造に結合し、RNAの転写を活性化します。

 

 

(注5) 第三世代レンチウイルスベクター

レンチウイルスベクター作製時に必要なコンポーネント(gag-pol、rev、エンベロープタンパク質)をそれぞれ独立のプラスミドから発現させ、HIV-1由来tatの発現なしに作製したレンチウイルスベクターです。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970