タカラバイオ株式会社は、ドイツのBioNTech Cell & Gene Therapy GmbH(以下、BioNTech社)に対し、

当社が保有するレトロネクチン~{®} _{(注1)}に関する一連の特許の商業利用許諾とレトロネクチン~{®}の供給に関する契約を締結しました。


 レトロネクチン~{®}は当社が独自に開発した遺伝子組換えタンパク質です。ウイルスを利用した細胞への遺伝子導入の際にレトロネクチン~{®}を添加すると遺伝子導入効率を飛躍的に高め、遺伝子導入後の細胞の拡大培養を効率良く行うことができます。近年多くのCAR遺伝子治療やTCR遺伝子治療などの遺伝子改変T細胞療法_{(注2)}において利用されています。


 今回の契約に基づき、BioNTech社は同社が開発中の固形がんに対するCAR遺伝子治療薬の製造にレトロネクチン~{®}を使用する計画です。


 当社は、遺伝子改変T細胞療法の臨床開発を進める企業・機関に対して、レトロネクチン~{®}の供給および技術導出を促進し、未充足な医療ニーズの解決に貢献してまいります。

 

 

 

 

BioNTech社について


 BioNTech Cell & Gene Therapies GmbHは、ドイツに拠点を置くBioNTech SE(www.BioNTech.de)の子会社であり、細胞・遺伝子治療薬の開発を担っています。
 BioNTech SE社は、がんをはじめとする重篤な疾患に対する次世代免疫療法の開発を進めています。同社のがん免疫領域の開発ポートフォリオには、メッセンジャーRNA免疫療法、CARやTCRなどの遺伝子改変T細胞療法などがあります。
 また、メッセンジャーRNAワクチンの開発と製造の豊富な経験を活かし、新型コロナウイルスなど複数の感染症に対するメッセンジャーRNAワクチンの開発を製薬企業や研究機関と共同で進めています。 BioNTech SE社の提携企業には、Genmab, Sanofi, Bayer Animal Health, Genentech(Roche Group), Regeneron, Genevant, Fosun Pharma, Pfizerなどがあります。

 

 


 

 

語句説明


(注1)レトロネクチン~{®}
レトロネクチン~{®}は、ヒトフィブロネクチンと呼ばれる細胞接着性タンパク質を改良した組換えタンパク質です。レトロネクチン~{®}を用いたウイルスの細胞への遺伝子導入法は、レトロネクチン~{®}法として知られています。レトロネクチン~{®}はタカラバイオ株式会社の登録商標です。

 

 

(注2)遺伝子改変T細胞療法
遺伝子改変T細胞療法は、患者またはドナーの血液から免疫細胞であるT細胞を取り出し、治療用に設計した遺伝子を導入して、標的のがん細胞を選択的に認識・攻撃するように遺伝子を改変したT細胞を用いる治療法のことをいいます。
この細胞療法には、大きく、CAR遺伝子治療とTCR遺伝子治療があります。CARは、キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor)のことで、がん細胞の表面にある抗原を認識する部分とがん細胞への攻撃能力を強化する部分を遺伝子工学的に結合させて作製された、がん抗原を特異的に認識できる受容体です。

一方、TCRは、T細胞受容体(T cell receptor)のことで、T細胞が抗原を認識する際に作用する受容体です。いずれも世界的な規模で製薬企業やバイオ企業による開発が進んでいます。
 

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970