タカラバイオ株式会社は、新型コロナウイルス変異株の変異を、検体からウイルスRNAを精製する工程を必要とせず、迅速、簡便に1時間以内で検出可能なリアルタイムPCR試薬(研究用試薬)(以下、本試薬)を、本年4月13日より販売します。~{(注1)}
現在、新型コロナウイルスの変異株による感染が世界的に増加しています。一般に、ウイルスの変異は、感染性などに影響する可能性があるとも言われていますが、新型コロナウイルスにおいても、英国株、南アフリカ株、ブラジル株といわれる変異株にみられる変異については、疫学上も重要な変異と言われています。当社では、これらのうちで、スパイクタンパク質におけるN501YおよびE484Kの2か所の変異を検出する迅速・簡便なリアルタイムPCR試薬を開発しました。~{(注2)}
本試薬は、コアキット(PCR酵素ミックスと前処理試薬のセット)と、N501YおよびE484Kの変異をそれぞれ特異的に検出できるプライマー/プローブで構成されており、これらを組み合わせて変異検出に用いることができます。コアキットには、現在販売中の研究用試薬「SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Kit」(製品コードRC300A)と同じく、当社のダイレクトPCR技術が使われており、一般的な検査キットのようにRNAを精製する必要がありません。唾液などの検体に前処理試薬を添加して加熱するだけでPCRを開始することができるため、検査時間が1時間以内と、大幅な時間短縮につながります。
また、当社のqPCR装置(Thermal Cycler Dice~{®} Real Time Systemシリーズ)のみならず、市販のqPCR装置への適合性を確認しています。
なお、本キットの製品化にあたっては、群馬パース大学大学院 木村博一 教授に監修いただきました。
すでに当社は、新型コロナウイルス変異株の解析のための次世代シーケンサーによるゲノム配列解析サービスを行っておりますが、本試薬の発売により、特定の変異株の検出を簡便に行う方法を提供することで、当社のPCR技術、遺伝子工学技術を通して、新型コロナウイルス感染症対策に貢献してまいります。
(注1) | 本キットは研究用試薬です。体外診断用医薬品ではなく、保険適用されるものではありません。詳細は弊社ウェブカタログをご参照ください。 |
(注2) | N501Y変異およびE484K変異は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質にみられる変異です。N501Y変異を持つ変異株として、英国株VOC 202012/01、南アフリカ株501Y.V2およびブラジル株501Y.V3などが知られています。また、E484K変異を持つ変異株として、南アフリカ株501Y.V2、ブラジル株501Y.V3などが知られています。 |
【当社製検査キットによる変異株検出パターン】
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(※)ウイルス変異株の最終的な判定には全ゲノムシーケンスを行う必要があります。
【製品概要・写真】
製品名 |
製品コード |
容量 |
希望小売価格(税別) |
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Primer/Probe N501Y (SARS-CoV-2) |
RC344A |
100回 |
10,000円 |
Primer/Probe E484K (SARS-CoV-2) |
RC345A |
100回 |
10,000円 |
SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Core Kit |
RC330A |
100回 |
100,000円 |
【製品写真】
(左) | Primer/Probe N501Y (SARS-CoV-2) |
(中央) | Primer/Probe E484K (SARS-CoV-2) |
(右) | SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Core Kit |
【製品のお問い合せ先】
テクニカルサポートラインまでお問い合わせください。
オンライン:https://www.takara-bio.co.jp/research/support/tsl/index.php
電話:077-565-6999(平日9時-17時)
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970