タカラバイオ株式会社は、 欧州臨床腫瘍学会2019年総会 (2019927日~101日、スペイン・バルセロナ)にて、腫瘍溶解性ウイルスC-REV(一般名canerpaturev, 旧称 HF10)およびNY-ESO-1・siTCR~{®}遺伝子治療に関し、国内外で実施した試験データを発表します。

演題番号・発表日・演題名

要旨

発表資料

9月29

Results from phase I study of the oncolytic immunotherapy agent Canerpaturev (C-REV) in combination with gemcitabine plus nab-paclitaxel as first-line treatment of unresectable pancreatic cancer

 

切除不能膵がんの一次治療における腫瘍溶解性ウイルスC-REVとゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法の第I相臨床試験結果

【目的・試験法】

ステージIII-IVの膵がん患者を対象に、C-REVゲムシタビン・ナブパクリタキセル(以下、G-nP)併用療法の安全性および有効性を評価した。

【安全性】

用量制限毒性は観察されなかった。

・評価可能症例16例のうち、C-REVに起因するグレード3以上の有害事象は4例、G-nP治療に起因するグレード3以上の有害事象は13例だった。

【有効性】

・評価可能症例16

・奏効率:44%、病勢コントロール率:94%

・無増悪生存期間(中央値):ステージIIIの症例 9.7ヶ月、ステージIVの症例 8.5ヶ月

【まとめ】

C-REVとG-nP療法の併用療法は、切除不能な膵がんの一次治療において良好な安全性と優れた抗腫瘍効果を示した。当日は、要旨投稿時のデータを更新して発表する。

発表資料は

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929

Phase I study of the oncolytic viral immunotherapy agent Canerpaturev (C-REV) with S-1 in patients with stage IV pancreatic cancer

 

ステージIV膵がん患者を対象とした腫瘍溶解性ウイルスC-REVS-1との併用による第I相臨床試験

【目的・試験法】

ゲムシタビン抵抗性のステージIV進行性膵がん患者を対象に、C-REVS-1併用療法の安全性および有効性を評価した。本試験は、膵原発巣のみに投与するコホート1と、膵原発巣に加え肝転移巣にも投与するコホート2からなる。登録症例数はコホート1で9例、コホート28例であった(2019416日時点)。

【安全性】

C-REVまたはS-1に起因するグレード3以上の有害事象発現例は、コホート1、コホート2いずれにおいても02例であった。

【有効性】

(コホート1)

・治験治療継続中の5例中3例で腫瘍縮小が認められた。

(コホート2

・評価可能症例4例中2例が安定であった。

・5例が治験治療継続中。

【まとめ】

C-REVとS-1併用療法は、切除不能な膵がんの二次治療において、良好な安全性と忍容性を示した。本発表では要旨投稿時のデータを更新して紹介する。

発表資料は

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9月30

Final Results from Phase II of Combination with Canerpaturev (formerly HF10), an Oncolytic Viral Immunotherapy, and Ipilimumab in Unresectable or Metastatic Melanoma in 2nd-or later line treatment

 

切除不能又は転移性のメラノーマ患者の2次治療における腫瘍溶解性ウイルスC-REVとイピリムマブの併用療法(第II相臨床試験)の最終結果

【目的・試験法】

既存治療が無効又は再発のメラノーマ患者を対象にC-REVとイピリムマブとの併用療法の有効性と安全性を評価した。

登録例数:28例(ステージIIIB 7%、IIIC 29%、IV 64%)

【安全性】

C-REV又はイピリムマブに起因するグレード3以上の有害事象は35.7%の被験者で観察された。

【有効性】

評価可能症例27例

・奏効率:11.1%、病勢コントロール率:55.6%。

・部分奏効もしくは24週以上持続する安定を認めた症例は22% (6例)で、6例とも生存中(フォローアップ期間 298~446日)。

・全生存期間(中央値):318.0日

【まとめ】

既存治療が無効又は再発のメラノーマ患者において、C-REVとイピリムマブとの併用療法は良好な治療成績を示した

発表資料は

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9月28

A novel affinity-enhanced NY-ESO-1 targeting TCR-redirected T cell transfer exhibited early-onset cytokine release syndrome and subsequent tumor responses in synovial sarcoma patients

 

新規高親和型NY-ESO-1特異的 TCR遺伝子改変T細胞輸注による、滑膜肉腫患者における早期発現サイトカイン放出症候群とその後の腫瘍縮小効果

【目的・試験法】

がん抗原NY-ESO-1に対する新規高親和型TCRを導入したT細胞を難治性がん患者に投与(輸注)し、安全性・臨床効果を評価する。

【安全性と有効性】

・9例の固形がん患者の症例登録・投与を行った。

・グレード2のサイトカイン放出症候群(CRS)が3例で発症したが、いずれもトシリズマブの投与により鎮静化した。

・3例の滑膜肉腫患者において腫瘍が縮小した(部分奏効)。いずれもNY-ESO-1発現が顕著であった。

【まとめ】

高親和性NY-ESO-1・TCR遺伝子改変T細胞輸注療法において、NY-ESO-1を高発現する滑膜肉腫患者では、体内での細胞増殖に伴う早期のCRSの発症とそれに引き続く腫瘍縮小効果が示された。

発表資料は

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9月28

Adoptive T cell therapy with TBI-1301 results in gene-engineered T cell persistence and anti-tumor responses in patients with NY-ESO-1 expressing solid tumors

 

遺伝子改変T細胞・TBI-1301輸注療法のNY-ESO-1発現固形がんにおける効果持続性と抗腫瘍効果

【目的・試験法】

NY-ESO-1陽性の固形がん患者9例(滑膜肉腫4例、メラノーマ3例、卵巣がん1例、子宮内膜がん1例)を対象として、TBI-1301輸注療法の医師主導治験を実施した。

【安全性と有効性】

・用量制限毒性は観察されなかった。

・グレード1~2のサイトカイン放出症候群が5例で発症し、2例ではトシリズマブの投与を実施した。

・腫瘍縮小効果は、部分奏効が2例(いずれも滑膜肉腫)、安定5例、進行1例、評価継続中1例であった。

・3例において投与細胞の100日以上の体内持続が観察された。

【まとめ】

TBI-1301T輸注療法は、良好な安全性と抗腫瘍効果を示した。体内で持続するTBI-1301の詳細なバイオマーカー解析結果を示す予定である。

発表資料は

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 当社は、国内提携先の大塚製薬株式会社と共同で腫瘍溶解性ウイルスC-REVおよびNY-ESO-1・siTCR~{®}遺伝子治療薬に関する早期の商業化に取り組んでいます。患者様や関係者のみなさまに貢献するために臨床開発を加速し、未充足な医療ニーズの解決に取り組んでまいります。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970