タカラバイオ株式会社は、再生医療での使用に適したiPS細胞用培地「Cellartis®DEF-CS™500 Xeno-Free GMP Grade Basal Medium」および、iPS細胞研究用の三次元培養用培地「Cellartis®DEF-CS™500 Xeno-Free 3D Spheroid Culture Medium」を、本年6月16日より全世界で販売いたします。
iPS細胞などの幹細胞研究は基礎から創薬、さらには再生医療分野への応用へと拡大を続けています。再生医療分野へ応用するためには、より安全性の高い条件で、長期間にわたり未分化能と自己複製能維持しつつ、大量にiPS細胞を培養することが求められています。
「Cellartis®DEF-CS™500 Xeno-Free GMP Grade Basal Medium」は、再生医療に使うことを想定して開発した、以下の特長をもつ性能および安全性に優れた培地です。
- 動物およびヒト由来の成分を含まず、また、フィーダー細胞と呼ばれるマウスの細胞と共培養する必要がない。このため、これらの成分に起因する感染リスクを低く抑えて安全に培養できる。
- GMPに準拠した製造・品質管理のもと、当社の施設で製造。
- iPS細胞に必要な、自己複製能と未分化状態を長期間維持できる。
- 当社推奨の添加剤を使用することにより、3Dスフェロイド懸濁培養が可能。
同時に発売する「Cellartis® DEF-CS™500 Xeno-Free 3D Spheroid Culture Medium」は、3Dスフェロイド懸濁培養に最適化したiPS細胞研究用の培地です。
当社グループは、近年ニーズが高まっている幹細胞分野の新製品・サービスの開発に注力し、「Cellartis®」ブランドである幹細胞関連製品のラインナップを拡充し、業績拡大を目指します。
Cellartis® DEF-CS™ 500 Xeno-Free GMP Grade Basal Medium
【製品概要】
製品コード | 製品名 | 希望小売価格(税込) |
---|---|---|
Y30071 | Cellartis®DEF-CS™ 500 Xeno-Free GMP Grade Basal Medium | 40,000円 |
Y30047 | Cellartis®DEF-CS™ 500 Xeno-Free 3D Spheroid Culture Medium w/o antibiotics | 44,000円 |
本製品の詳細やご購入については、当社営業部 営業企画担当(TEL:077-565-6972)までお問い合わせください。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970
<参考資料>
【語句説明】
iPS細胞
体細胞に、数種類の遺伝子を導入することなどによって分化多能性が誘導された細胞のことです。2006年に京都大学山中伸弥教授らのグループにより、この現象が発見され人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cells :iPS細胞)と名付けられました。
iPS細胞は、ES細胞とほぼ同等の分化多能性を示すことから、薬剤開発、種々の疾患の病態解明や再生医療への応用が期待されています。
Xeno-Free
Xeno-Freeとは、xenogeneic component freeの略で、異種由来成分を含まないことをいいます。ヒト由来iPS細胞を培養する培地において、ヒト以外の動物(哺乳類、鳥類、は虫類、両生類、魚類)に由来する原料を含まない培地をさします。異種由来成分を含まないことにより、それらに起因するウイルス感染のリスクが低い、より安全性の高い培地となります。
GMP
GMPとはGood Manufacturing Practiceの略で、医薬品や体外診断用医薬品などを製造する際に遵守すべき「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準」を指します。GMPは、安全で品質が担保された医薬品や体外診断用医薬品などを供給するため、製造時の管理、遵守事項を各国の規制当局が定めたものです。
フィーダー細胞
細胞培養の際に補助的に加えて共培養することで、目的の細胞の培養環境を整える働きがあります。この補助的に加える細胞のことをフィーダー細胞と呼びます。
三次元(3D)培養
細胞培養用プレートなどを使用する細胞培養では、細胞は単層となり増殖します。これを二次元(2D)培養といいます。一方、ゲル状の培地等で細胞を三次元的に培養することを三次元(3D)培養といいます。実際の生体内においては、細胞は三次元的に増殖して組織や臓器を形成していることから、三次元培養により、新薬開発における薬剤影響をより正確に調べることが可能となり、創薬スクリーニングでの需要が高まっています。
3Dスフェロイド懸濁培養
スフェロイドとは、細胞同士が集合・凝集化した球状の細胞集合体のことをいいます。
細胞を単層ではなく細胞集合体の形状のまま培地中に懸濁し、三次元的に培養することを3Dスフェロイド懸濁培養といいます。