タカラバイオ株式会社は、iPS細胞から安定した品質の肝細胞を作製するための研究用試薬「Cellartis® iPS Cell to Hepatocyte Differentiation System」および関連製品を本日より発売いたします。
iPS細胞から肝細胞を分化誘導する際は、iPS細胞から胚体内胚葉細胞(以下「DE細胞」)へ分化誘導し、さらにDE細胞を肝細胞へ分化誘導する方法がとられています。このようなステップを経由することなどから、従来は、出発材料のiPS細胞株の違いにより、作製される肝細胞の品質にばらつきが生じることが問題でした。
本製品を使用することにより、iPS細胞株の性質の違いによらず、顧客自らが保有する多様なiPS細胞を肝細胞へ安定して高品質に分化誘導することができることから、ニーズに応じたiPS細胞由来肝細胞の作製が可能です。当社グループは、2014年にパートナーとなった旧Cellartis社(現Takara Bio Europe AB社)が有する分化誘導技術を活用し、本製品を開発いたしました。本製品は、以下の製品からなります。
●iPS細胞からDE細胞を分化誘導するキット
「Cellartis® Definitive Endoderm Diff Kit with DEF-CS™」
●DE細胞から肝細胞を分化誘導するキット
「Cellartis® Hepatocyte Diff Kit」
●上記2キットが1つになった、iPS細胞から肝細胞を分化誘導するキット
「Cellartis® iPS Cell to Hepatocyte Differentiation System」
など
当社グループは、近年ニーズが高まっている幹細胞分野の新製品・サービスの開発に注力し、「Cellartis®」ブランドである幹細胞関連製品のラインナップを拡充してまいります。
【本製品概要】
製品名 | 容量 | 製品コード | 希望小売価格 (税別) |
Cellartis® iPS Cell to Hepatocyte Differentiation System | 1 Kit | Y30055 | 138,000円 |
Cellartis® Definitive Endoderm Diff Kit with DEF-CS™ | 1 Kit | Y30035 | 57,000円 |
Cellartis® Hepatocyte Diff Kit | 1 Kit | Y30050 | 86,000円 |
Cellartis® Definitive Endoderm ChiPSC18 | 1 ml | Y10040 | 67,000円 |
Cellartis® Hepatocyte Maintenance Medium | 50ml x 2 | Y30051 | 25,000円 |
製品の詳細やご購入については、当社営業部営業企画担当(TEL: 077-565-6972)までお問い合わせください。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970
<参考資料>
【語句説明】
iPS細胞
体細胞に、数種類の遺伝子を導入することなどによって分化多能性が誘導された細胞のことです。2006年に京都大学山中伸弥教授らのグループにより、この現象が発見され人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cells :iPS細胞)と名付けられました。iPS細胞は、ES細胞とほぼ同等の分化多能性を示すことから、薬剤開発、種々の疾患の病態解明や再生医療への応用が期待されています。
胚体内胚葉細胞(Definitive Endoderm Cells)
ヒトを含む動物の細胞の受精卵から各種細胞へ分化する過程でつくられる細胞で、その後に肝臓、膵臓、肺、腸などの細胞へ分化します。
幹細胞
他の種類の細胞へ分化できる能力と分裂増殖を経ても未分化な細胞を維持できる自己複製能を有する細胞のことをいいます。中でも多種類の細胞へ分化することができる幹細胞を多能性幹細胞といい、再生医療への応用が期待されているES細胞やiPS細胞などが含まれます。