タカラバイオ株式会社は、 空間情報_{(注2)}を保持したまま、シングルセルから、さらに微小なサブセルラーレベルの分解能_{(注1)}で遺伝子やタンパク質発現を解析することが可能な、米国NanoStrings社製の空間分子イメージャーCosMx~{TM} SMI (Spatial Molecular Imager、以下:本機)を国内受託会社として初めて導入し、本機を用いた受託サービスを開始します。
細胞レベルの遺伝子やタンパク質の発現を調べるシングルセル解析は、広く研究に利用されています。しかしながら、細胞を分散させて解析するため各細胞の空間情報は失われてしまいます。一方で、組織中の空間情報を保持したまま網羅的に発現を調べるこれまでの空間解析は、シングルセルレベルでの解析が困難でした。
本機は蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)_{(注3)}を元にした技術であるため、サブセルラーレベルの分解能と空間情報を保持した解析が可能です。また、複数のレポーターセット_{(注4)}を用いて検出するため、同時に約1000種の遺伝子、約100種のタンパク質を定量、可視化できます。本技術は、従来のシングルセル解析と空間解析の弱点を克服することが可能な技術として、細胞アトラス_{(注5)}の解明や、組織表現型解析、細胞間相互作用や細胞内プロセスの理解、バイオマーカー探索への利用が期待されます。
※ ヒトの肺組織解析結果例
水色の線は推定される細胞の境界、各色の点は検出された遺伝子またはタンパク質分子を示す。
(ピンク:MMP7、赤:KRT17、青:COL1A1、緑:FN1、黄色:IGHA1)
細胞によって発現している遺伝子が異なり、各細胞が組織中のどの領域に分布し、どの遺伝子やタンパク質を発現しているかをシングルセルレベルで調べることができる。
当社は、これまで展開している受託サービスに本機を用いたサービスを加えることで、注目されているシングルセル解析および空間解析のサービスをより充実させます。
【本サービスの詳細】
空間トランスクリプトーム解析
https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?unitid=U100009543
【お問い合わせウェブサイト】
各種受託サービスお問い合わせ
https://www.takara-bio.co.jp/research/support/jutaku/index.php
【NanoString Technologies社の概要】
米国・シアトルで創業したバイオテクノロジー企業(URL: https://jp.nanostring.com/)。
2003年にデジタル分子バーコード技術によるnCounter解析システムの販売を開始し、現在は組織切片上の位置情報を保持した空間生物学分野のパイオニアとして、3次元での遺伝子とタンパク質のマルチオミックス発現を見ることができるGeoMx®デジタル空間プロファイラー、CosMx™空間分子イメージャーの販売など、基礎研究・トランスレーショナル研究のための技術を提供している。
【語句説明】
(注1)サブセルラーレベルの分解能
遺伝子やタンパク質などの分子が細胞内のどの場所に局在しているかを識別できること。シングルセルレベルよりもさらに高精度な解析技術が必要とされる。
(注2)空間情報
ある分子が組織中のどの場所に存在していたかという情報。組織学的画像と遺伝子やタンパク質の発現情報を組み合わせて解析することを空間解析と呼ぶ。
(注3)蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)
蛍光物質をもったプローブ(標的の塩基配列と相補的な配列を持つ核酸)を標的(RNAやタンパク質)と結合させ、蛍光顕微鏡下で可視化する手法。CosMxTM SMIでは、RNAを標的とする際はRNA自体を直接標的塩基配列にし、タンパク質を標的とする場合は標的タンパク質に反応する抗体にDNAタグをつけ、このDNA配列を標的配列とする。
(注4)レポーターセット
FISHの際にプローブに結合する蛍光物質を持った分子のことをレポーターと呼ぶ。一種類のプローブに対して複数のレポーターを組み合わせることで一度の解析で大量の標的を測定することが可能となる。
(注5)細胞アトラス
ヒトのすべての細胞種における遺伝子の発現プロファイルをカタログ化しようとする計画。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970
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