タカラバイオ株式会社は、国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)と、ゲノム医療の社会実装に向けた連携推進協定を本日付で締結しましたのでお知らせします。
本協定により両者は、大阪大学医学部附属病院にクリニカルシーケンスラボを設置し、次世代シーケンサーを用いたがんクリニカルシーケンス検査を始めます。また、大阪大学大学院医学系研究科に共同研究講座を開設し、新たなゲノム医療技術に関連する研究開発を実施します。
当社は2000年に国内初の民間大規模ゲノム解析施設を開設し、全ゲノムシーケンス解析などの遺伝子研究受託サービスを提供してまいりました。また、近年はCAP(米国病理学会)-LAP認定を受けた検査ラボに最新の設備を完備し、クリニカルシーケンスなどの臨床向け検査や腸内細菌叢解析などの多様なサービスを提供しています。さらに、これらの解析に必要な試薬・キット類の技術開発にも注力しており、特に、本分野を推進するための鍵となる微量核酸分析では、独自技術に加え、昨期には、米国のWaferGen Bio-systems社とRubicon Genomics社を買収するなど、本分野を推進するための技術・製品ポートフォリオの充実に努めています。
この度、大阪大学に設置するクリニカルシーケンスラボは、国際基準の品質体制としてCAP-LAP認定(CLIA準拠)を目指し、遺伝カウンセリング外来などの診療体制の整備が行われる予定です。また、共同研究講座では、当社がこれまで培ってきた遺伝子解析に関する独自の技術・ノウハウを活かし、新たなゲノム医療などの最先端技術の臨床実装を目指して研究開発を行います。
当社はゲノム医療を含むCDMO事業の拡大に注力しており、本協定により、ゲノム医療推進のための新たなサービス、製品開発を進めてまいります。
※大阪大学との共同リリースについては下記をご参照下さい。
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970
ゲノム医療
個々のヒトのゲノム情報を解析し、その結果を基に、効率的かつ効果的な疾患の診断・治療・予防を行うことです。
クリニカルシーケンス
遺伝子解析を医薬品の開発や治療などの臨床応用につなげることをいいます。患者に最適な抗がん剤を調べる手法の一つとして、がん患者のがん関連遺伝子異常を網羅的に解析するなど、近年注目されています。
次世代シーケンサー
従来のサンガー法を基にしたシーケンサーとは異なる原理に基づいた塩基配列解析装置で、数百から数億個の塩基配列データを並列に大量取得することができます。
CAP-LAP
CAPは、米国の品質マネジメントシステムツールの提供・検査室認証及び教育などを主な業務としている学会です。LAPはCAPにより毎年実施されている世界最大規模の国際的な臨床検査成績評価プログラムのことです。臨床検査室の設備等のハード面と臨床検査室を運営するソフト面が査察の対象となります。
CLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendments)
米国CMS(Center for Medicare & Medicaid Services)が管理する、ヒト検体を取り扱う臨床検査ラボの品質保証基準です。
CDMO事業
再生医療等製品などの製品開発支援サービス事業をCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業と呼んでいます。遺伝子導入用ベクターの製造や細胞加工、遺伝子解析、安全性試験などの受託サービスなどが含まれます。